感染初期の頃には「コロナと言うな、コロナウィルスだ！」とか、「コロナと言うな、新型を付けろ！」とか、いろいろ言われた新型コロナウィルスですが、もはや誰もがコロナといいますね。女帝の人が「withコロナ」とか謎フレーズを言った瞬間に人口に膾炙して、もはや新型付けろの人もどこかに消えてしまいました。

この新型コロナ、初期には武漢で感染拡大し、嫌中嫌韓の人たちが「ホラ見たことか後進国の遅れた医療体制と国家ぐるみの隠蔽体質が被害を拡大させてるぞ」みたいなニュアンスで対岸の火事をバッシングすることに勤しみ、自らの国家のトップが五輪のことや習主席国賓来日を考慮して対策が遅れたことは放置で、結局一刻も早く効果的な対策をとった台湾とはかなり違った様相を見せることになりました。

それでも国民的コメディアンの志村けんが死んだことで一気に自分のこと感が沸き起こり、感染するな、感染させるながモラルを超えて恐怖感に国民全体が支配され、結果そういう煽り報道が視聴率を取るようになるとそれがさらに加速していく。いや、もう仕方ないと思いますよこの傾向。

そもそも、いきなり東京マラソンが一般ランナー締め出しとなって、世界的にも大型イベントが中止や縮小した第1号じゃなかったでしょうか。

まあそれはそれとして。

GO TO トラベルキャンペーンがバッシングに遭って制度変更を余儀なくさせられる。低所得者に30万円支給案がバッシングに遭って全住民に10万円支給に変更されたことと似てますな。お金が絡むと不公平だとかなんだとかいう感情と論理が出てきて、感染症対策とは何かという本筋とは違った論争になってくるように思います。いいんですけどね、じゃあ観光業界を干上がらせてどうすんだという気になります。資源がない国で、白物家電の輸出もダメ、売ろうと躍起になってた原発もダメ、高速鉄道も各国にライバルがいて、自動車産業だって電気自動車の時代になったらテスラみたいな異業種の参入が容易になって、トヨタ日産の主力輸出産業はどうなるんだという近未来に、一筋の光明がインバウンドなのは明らかで、なのに各種ホテルも土産物屋もレストランも軒並み体力を失ったら、感染がおさまった時にもインフラから整備しなきゃいけなくなってしまう。今年京都でも新規ホテルの開業ラッシュが起きてて、それは7年ほど前から計画〜建設を経てようやく2020年に開業。完全に五輪需要を見込んだ計画だったわけだけれど、要するに新規にいろいろやろうとするとそのくらいかかる。まあホテル用の用地買収は要らないからリニューアルや業者交代だったらそんなにかからないだろうとは思うものの、それでもそこに建設やなんや、そもそもその業種で生きていこうという覚悟を持った人をそろえることは大変なわけで、だったら今ある業者を生かさず殺さず保持し続ける策を打った方が国の投資としては断然効率的。海外からの観光需要がすぐには戻らない以上、国内旅行を盛り上げるしかないわけで、だからのGO TOトラベルなのであって、それを妨げてどうなるんだと、正直思います。

新型コロナの感染がどのくらい脅威なのかという点で、冷静にみればもはや脅威ではないのは明らかで、現状で衣料は逼迫していない。感染したことがわかった人を全員ICUに入れるというのなら多少の拡大ですぐに医療は崩壊しますが、この数日増えている感染者の多くは無症状。もちろん無症状だからといって街中に放流すれば感染拡大させるし自宅軟禁かホテル軟禁すればいいんだけれど、所詮ホテルを借り上げれば済むこと。それなら観光客激減のホテル業界に多少のお金を落とすこともできる。だから徹底的に検査をして、無症状の人を2週間隔離して、とやればいいだけのこと。

極論を言えば、感染しないためには息をしなければいいのです。そんな無茶な、ですよね。だったら息はしよう。口から物を摂取しなければいいじゃないか。それも無茶。だったら物は摂取しよう。外に出かけなければいいよ。それも無理。だったら時には外出しよう。外に出ても誰にも会わなければいいよ。それもきっと無理。スーパーに買い物に行って誰にも会わないとか無理だよ。だったら多少は人と会うことも容認しよう。そんな感じでどんどんとハードルを下げる。どこが可能な感染防止のハードルなのか。息をしないというところから徐々にハードルを下げてるんだからリスクはそれに比例してあがっていく。それは仕方ない。じゃあどこが妥当なハードルの高さなのか。それが、人によって違う。基準をひとつにして、マスクをするかしないかだけで論じれば、国民の意見を2つに分けて議論することができる。しかし実際には基準はいくつもあって、それぞれに判断が違うから、どれが妥当な感染防止策なのかということは、人によって全員ちがうということになる。

そんな中で自分の考えだけは非難されることなく他人の誰かの意見を非難するということは、まず無理です。

GO TOトラベルだって、それが必要な人と、そんなの要らないという人がいる。コロナ前だって、観光公害と言い立てる人がいて、そういう人は静かな暮らしがしたいとおっしゃる。バスに普通に乗れないとおっしゃる。しかしそういうバスが運営されているのは、観光客も含めた運賃収入があるからであって、それをバッサリと切り捨てれば、普通に乗るバスそのものが無くなる。観光客がホテルに宿泊する時に宿泊税というものを取っていて、それによって京都市内のインフラは充実させることができる。そういうのをすっかりなくして、市民税でその不足分をカバーしますという人はどのくらいいるのか。カバーしないでインフラが朽ちていくのを座してみながら暮らすというのか。そうだと言うなら、それはそれでひとつの覚悟だけれど、観光公害と言っている人のほとんどはそんなことまで考えて言っているのではないだろう。

考えるに、新型コロナウィルスはかなり確率の低いロシアンルーレットのような物だと思う。確率の低い弾に当たったとして、当たった人の中で死ぬ確率もかなり低い。それを恐れて、社会が崩壊しているのを黙って見ているようなものだと思う。それは、何かを怖がって息を止めるようなものだと、僕は思っている。

そうはいっても新型コロナで死ぬ可能性は否定できないから、怖がるんじゃないですよとは言えないのだけれども。そして言えないことが、とても厄介な話になってしまっていると僕は思う。蛮勇な方向に舵を切るとしても、その責任を誰も取れやしないのだから。