絆という言葉が嫌いだ。そこには暗黙の強制力がある。いかにいい方向に向かうのだとしても、考えもしない誰かを脅して恐怖心で、脅す根本の内容とは無関係のある方向に突き動かすことに意味はない。「でも、相手が動員をかけている以上、こちらも動員をかけなければ負けちゃうじゃないか、民主主義は多数決なんだぞ」という声もあり、主張の双方が動員をかける。その多数に意味はあるのか？考えずにその場に連れられる数が大事なのであれば、飼っているペットをたくさん連れて行くのと大差はない。

友人が「長いこと引きこもりのような暮らしをしてきたので、市民運動の人たちのいる場所に行くのが苦手。圧倒されるし、泣きたくなる。だけど、明日は国会前に行ってこようと思う。」と述べていた。その場に行ってみんなで反対を叫んでいる、いや、反対に限らず、叫んでいること自体を想像するだけで緊張するという。それでも国会前に行くという。自分で考え、自分の判断で行く。それはとても良いことだ。行ってみて、声なんてあげなくても良い。道路の反対側の隅で眺めているだけでもいい。怖くなれば途中で帰ってきてもいい。誰から強制されたことでもないのだから、自分の気持ちのままに動けばいい。

そうした個々の人たちが、誰に強制されることも、誰に動員されることもなく、ひとつの独立した個の自由意思でその場に向かう。その結果多くの人が集まれば、それこそ民主主義の強い意志になるのだろうし、選挙のたびに各陣営が組織がためをすることで決まってきたこの国の在り方を少しだけ変えていく端緒になるのかもしれない。

天候が気になる感じだけど、盛り上がるといいな。

　ついつい、相手の言ったことに対して否定をしてみたりする。それはよくない癖だ。

　否定することで、相手よりも自分はよくわかっているんだよというポーズをしたいだけなんだろうと思う。後からそう思うけれども、言ってる時にはなかなかそうは考えられない。よくない癖だし、愚かな証拠だ。

　なので、否定することをちょっとやめてみようと思います。そのことで、何が変わるのか。それとも変わらないのか。試してみたいと思います。

　つってもそれは仲の良い人の間でのことであって、見知らぬのに等しい相手に対してまでそんな善人であり続けられるほど悟りが開けているわけではない。ま、Twitterでなら無言でブロックするだけだけれども。まあそれにしても、相手に否定の言葉を浴びせる訳じゃないし、否定することをやめてみることには広義で沿っているとはいえるのかもしれません。

　今朝は保育園までの川沿いの道を息子と二人っきりで自転車で駆け抜ける。駆け抜ける間、息子はけっこう黙っている。風景を見ているのです。僕が風景の感想を口にする。白い鳥がおるねえ、トンボがいっぱいいるねえ、蝉の声が少なくなってきたねえ、このまま涼しくなっていって、桜の葉っぱが赤くなっていくだろうねえ、今は緑で、川はその緑の葉っぱを反射するからあの辺は緑色だねえ、等々。ホント、今朝は涼しくて、駆け抜ける時の風が心地よくて、嬉しい。いや、それよりも二人で川沿いを駆け抜けられることが嬉しい。昨日息子は風邪で保育園を欠席したから。二人で自転車に乗れることが本当に嬉しい。

　息子はそういう僕の声をしっかり聞いている。時々そんなことをどこで覚えてきたのかと驚くようなことを口にしたりするんだけれども、なんのことはない、それは僕が口走ったことを覚えていたということがけっこう多かったりする。

　一昨日僕の携帯が鳴り、息子が熱を出していると保育園からの連絡。わかりました、これから向かいますと保育園に向かう。その途中で奥さんに保険証のことを聞く。わかった、持って行くと。それで、帰りがけにかかりつけの耳鼻科に寄っていくことに。着いたら奥さんが待っていて、順番も次だという。息子を渡して、診察室に行ってもらう。耳鼻科の先生は「お、お母さんと一緒なんだ、珍しいねえ」と口にする。あとで奥さん、「なんか、チクチク言われた」と不満そう。

　うちは、保育園が僕の職場への中間点にあるので僕が自転車で送り迎えをしている。そういう家庭事情。だからその帰宅途中に耳鼻科に寄ることが多い。というか、ほとんどだ。寄る時は朝から保険証を準備してから行く。必然的に僕が息子を耳鼻科に連れていく。そういう家庭事情だ。だから奥さんが連れていくのが珍しかった。そのことを言われたので、ちょっと不満そうにしていた。

　僕は、「それは、自分が「育児は女性がやるものだ」という【常識】に囚われている証拠なんじゃないかな」と言ってみた。理由は、息子を病院に連れていくのは女性がやるものだという常識に囚われていたら、お母さんが行くのが珍しいという家庭のことを非難する人は出てくるだろう。もしお父さんが時々子供を病院に連れていった時に「お、お父さんと一緒なんだ、珍しいねえ」と言われたとする。その時にお父さんは「自分が育児をしていないと思われた」と考えて不満そうにするだろうか。おそらく、しない。何故か。それは「息子を病院に連れていくのは男性がやるものだと、世の中は思っているに違いない」という【常識】に囚われていないからだ。だとすれば、「お、お父さんと一緒なんだ、珍しいねえ」と言われたお父さんがイラッとしないで「エヘヘ」とか笑っているのと同じように、「お、お母さんと一緒なんだ、珍しいねえ」と言われたお母さんもイラッとしないで「エヘヘ」とか笑っていればいいだけのこと。

　そういうと、ほほう、なるほど〜と奥さんは僕の意図をわかってくれたような感じで、なにをか考えている様子だった。

　僕自身が、息子を病院に連れていくことを僕に押し付けやがってと思っているのであれば、それはそれで極めてプライベートな家庭事情だ。だが、僕自身はそのことになんの不満も持ってはいない。というか、僕が主に病院に連れていっているのは、送り迎えを担当していることの副産物であり、その主原因でもある送り迎えというのは、僕にとって楽しみ以外のなにものでもない役割なのである。川沿いの道を自転車で駆け抜ける。電車の線路沿いの小道を通って、やってくる電車を見て息子とはしゃぐ。途中の道に自動車で売りにくる豆腐屋さんはいないかなとワクワクする。時間があれば神社にたちよって駆け回る。季節の花に目を輝かせている表情をじっと眺める。喉が渇いたと水筒を要求される。くしゃみが聞こえれば自転車を停めて鼻を拭いてやる。保育園で覚えたのか僕の知らない歌を歌ったりするのを聴きながらペダルを漕ぐ。どれも、宝物のようだ。あと3年半程、小学校に入るまではこの生活が続く。だが、たったの3年半だ。その貴重な共同体験をさせてもらえることが、楽しみであっても負担などではない。奥さんには申し訳ないが、僕はうちの家庭事情が僕を耳鼻科引率係にさせていることを、ラッキーだと思っている。

　それぞれの家庭にはそれぞれの家庭事情がある。家庭の構成員がなんらかの不満を持っているのであれば、対処できる範囲で改善していく必要があるが、その家庭事情に対して外部の人が何を思おうが、そんなことに気を遣う必要などは基本的にないと思う。もしもどこかの誰かのヒマ人が個別の家庭事情に皮肉みたいなことをチクチクと物申したとしても、「そーなんですよ、てへぺろ♬」という態度で逆にあざ笑うくらいがちょうど良い。

　道徳の教科書に載っているような模範的な暮らし方など、この世に存在しないと僕は思っているのです。

　友人が投稿したfacebookの近況ポストに、コメントが寄せられる。でも、何かおかしい。その投稿をした友人本人のアンサーがコメント欄のトップに表示されている。何度もリロードしてみたが状況は変わらない。そこで気づいた。ああ、それは僕がこないだブロックした人が投稿したコメントなのだなと。

　facebookではブロックをした人の投稿は一切見えないようになる。その人の投稿はもちろん、その人が誰かの投稿にコメントした場合も見えなくなる。だから、その人がコメントをしてそれに返事がついても、僕からは返事だけしか見えないというおかしなことになる。

　僕がブロックをした人とは、ずいぶん以前には何度も年賀状をくれたりもした相手だ。その彼が、僕には見るに耐えない主張をそこで繰り返していた。差別主義的なその主張は、彼にとっては至極当たり前のことのようで、仮に彼に対して僕が「それはマズいのではないかな」と問いかけたとしても、きっと地動説を信じている人が天動説を説かれた時のような反応しかしないのではないかという気がする。あ、天動説と地動説を入れ替えてもらっても構わない。天動説を信じている人が地動説を説かれた時のような反応といってもいい。どちらが正しいではなく、相手の意見を容易に受け入れられない的な、ここではそんな意味で。

　だから、僕はちょっとブロックをしてみた。見るに耐えないという意味と、もうひとつは、ブロックしたくなる発言が多いよということを婉曲的に伝えられればという意味で。

　そのブロック、行為としてはブロックのボタンをクリックするだけなのだが、心理的な壁がかなり大きかった。だって、一応旧い友人なのだ。主義主張を超えてわかりあえるというのが旧友のいいところなのだが、だからといって、主義主張を放り出せるのかというと、そんなことはない。有り得ない。主義主張はちゃんとある。仮に旧友が法を犯して逮捕されたとしても、それは単なる法律という話でしかなくて、彼が裁きに従い刑に服すのであれば、それ以降も友人であり続けられる。だが、主義主張というのはなかなかそうはいかない。なかでも、差別主義的なものを、無意識のうちに行動にしてしまっている程度であればまだしも、意図的に自分の中に差別的な論理を構築させてしまっていたら、それはもう友人としてつながっていることはできないではないか。たとえfacebook上でイイねを押したりする程度の友人としてであっても。

　彼は、いつか自分がブロックされているということに気がつくのだろうか。つかないかもしれないし、気がついたとしても、何故ブロックをされたのかの理由がわからないかもしれない。だからここで敢えて書いておくが、それはあなたが差別主義者だと判断されたからです。facebookで書いてもそれはあなたには読めないので、ここに書いておきます。まあ、facebookでイイねを押し合ったりする程度の旧友が、このブログを読みにきているとは思わないけれども。

　さて、facebookにはブロック候補の旧友があと3人いたりする。でも、それはもうちょっと先伸ばしにしたい。いや、今すぐにでもブロックすべきなくらいに差別主義的な感じなのだけれども、旧友を4人もfacebook上でブロックしてしまえるほど、図太い神経は持ち合わせていないのです、今のところは。

日経平均が19000円台をあっさりと割り込み、すでに18000台半ばあたりの昼下がり。株やってない僕でさえ、これはあかんヤツじゃないのかと思ったりする。一番アレなのは、今の政治が完全にアベノミクスで経済が良くなったという幻想に基づいた支持一点にかかっていて、だからそんなに下げちゃたまらんと、また日銀が円を大量に刷りはじめるのではなかろうかという懸念である。

円を刷ると言えばなにか打ち出の小槌のような感じにもなるけど、それで国債を買うのだから、後世の誰かがそれを返済しなければならなくなる。突然国内のどこかで金が産出されたり、油田が掘り当てられたりしない限り、国民が働いて返すことになる。じゃあ誰だよそれは？

時代劇なんかでは善良なお父さんだったはずの人が賭場にのめり込み、借金を重ねて娘を売るはめになるようなシーンが時々出てくる。そう、お父さんのバカな博打の借金を返すのは、娘が身体でということ。つれられていくシーンでは身体を売る生々しい場面にはならないけれど、その先に過酷な未来が待っていることは容易に想像がつく。いや、仮に売られた先で大切にされたとしても、親子が生き別れになるのなんて、悲しい。まあ、博打で娘を売るようなお父さんから離れられるのだからそこまで悲しくもないのかもしれないけれども。

ともかく、もう円を刷りまくるのはやめといた方がいいと思う。多少の追加資金で追い付くほど世界の経済が楽観的な状態ではないし、傷が致命傷にならないうちに鉄火場から足を抜ける勇気も大事だ。

ま、現時点ですでに致命傷なのかどうかは、今は考えないにしてもだ。

京都に丸善がオープンした。なんでも10年ぶりらしい。梶井基次郎の小説「檸檬」の中で重要な役割を果たす、書店丸善。レモンを持ってきた客のためにレモンを置くコーナーが設置されていた。ホントに持ってきた人がそれなりにいたようで、カゴふたつにレモンが山盛り。これから増えるのかもな。墓地のお供えみたいに毎日下げられるとは思うけど。

店内は広くてワクワクするが、東京のメガ書店に慣れてると、まあそれには敵わないので、この広さにもやがて慣れるのだろう。個人的に嬉しかったのは、洋書コーナーが充実していたこと。なんでも丸の内の洋書コーナーに匹敵するらしい。小説関係が少々薄い気もするけど、まあこれからなのだろう。もっと面出し平積みが増えると活気が出るだろう。

そういえば檸檬で主人公がレモンを置くのが洋書の画集コーナーだった（はず）。洋書コーナーが充実してるのは、そういうことも関係しているのだろうか。いずれにしても嬉しいことだ。

レモンコーナーには梶井基次郎の「檸檬」が積まれてて、記念買いを促してたけど、結構売れたのだろうな。少なくともレモン持ってきた人は買って帰っただろう。そこに檸檬のスタンプが置いてあって、ここで買ってスタンプを押してという趣向で、ああ買いたいなと僕だって思う。すでに3冊持ってるのでさすがに我慢したけど。

丸善カフェには檸檬ケーキというメニューもあって、どれだけ檸檬押しなんだと思うが、夕方5時にはもう売り切れてて、客の方も檸檬との関係を意識しちゃうのかも。そう考えると書店のメイン客はレコード屋と同じで高齢層なのかもしれない。丸善の絵本コーナーは1番奥で、本の数もメチャ多いとはいえない感じ。ここをもっと充実させることが、将来の本好きを育てることになるのになあと、ちょっと思ったよ。

　まだ暑かった夏の午後、近所の公園に息子と出かけた。わりと広い、とはいっても一隅から公園全体が見渡せるそこは、例えていえば福岡の大濠公園みたいな規模ではなく、その中にあるクジラ公園の2.5倍程度の広さです。

　その公園の立木の下という下の、有り体に言えば木陰の、要するに盛夏の屋外でもっとも涼しく過ごせる場所に、ワンタッチで広げられるテントが立ち並んでいた。

　テントが？ なんでだ？ まあ僕ら父子はサッカーボールの蹴りっこをしに来たのであまり影響はないのだけれど、木陰で休んで読書でもしようという人にとっては、そのテント群はたいそう邪魔だっただろうと思うし、ボールの蹴りっこをしにきてた僕らが、3歳児の消耗を気にかけて水筒のお茶を飲ませようとひと休みする場所も直射日光の炎天下にならざるを得ないので、ああ、この場所からは早急に離れなければいけないのだなと直感的に感じたのだった。

　みんなが遊びに来る公園の一画でテントを張る。そんなテントが立ち並ぶ。その光景は郊外に整備されるニュータウンの、どれも同じな新築建売一戸建ての群れを思い起こさせたのです。

　アメリカの西部開拓史というのは、一応先住民がいただろうけどそんなの無視してマカロニウエスタンな大地に馬車でやってきたアメリカ人たちが勝手に木を切って家を建てて住みはじめ、近くの荒野を耕して作物を作り、町が出来ていく。その町に家を建て遅れた人たちはまた西に行って誰もいない荒野に勝手に家を建てる。家が建っちゃったらもうそこを「なんでお前の土地なんだ」と言って取り上げるわけにもいかず、だってそうでしょ、土地が欲しい人はもっと西に行けよ早い者勝ちだよ、ここでグダグダ言ってる間に他のヤツにとられちゃうよ、と言われたら、慌てて西にいくのが常識というもの。斯くして勝手に土地を自分のものだ宣言して家建てた人がそこを自分の土地として所有し、孫子の代までその場所を疑うことなく自分の土地として生きている。

　京都には創業数百年という老舗がゴロゴロしているが、794ウグイス平安京遷都以前には土着の豪族秦氏が住んでて、でもそこに天皇家がやってきて暮らすようになってきた。京都御苑はだだっ広いけれど、そこは750年頃には誰の土地だったのでしょう。ましてや、創業数百年の老舗の店舗兼住宅の土地は、750年頃には誰の土地だったのでしょう。

　その後（かなり端折るが）も「ここは俺の土地だ」と言いたい人がたくさん現れて、でも誰もいない荒野ではなくなっている以上、誰かが「いいや、ここは俺の土地だよ」と言うわけで、だったらその「俺の土地だ」と言っている人や家族を皆殺しにしてその土地を奪うか、それが出来ないのなら、然るべき金額を積んで、どうぞこれで譲ってくださいといってお願いをする。いいや売らない、ナンボ金を積まれても売りませんという頑固な人もいれば、「いくらでっか？ン億？よろし、売りまひょ」的なことで解決することもある。

　公園のテントの場所も、すごく良いところからちょっとはずれのところまでいろいろで、あとからやってきた家族には選択する権限などまったく無いのだけれども、金の力にものを言わせて「すみません、ここにうちもテント立てたいんですけど、おたくが先にいらっしゃるので立てられません。大変不躾なことを申して相済みませんが、5万円お支払いいたしますので、この場所をお譲りいただけませんでしょうか」と交渉すれば、立ち退いてくれる人は沢山いるのではないだろうか。どうせ4時の閉園時間には立ち退かなければならないのだし。

　そんなこんなで、日本の人は自分の家を持つために法外な金額を支払ったり、35年も借金に縛られることを覚悟したりするわけですが、そこにその億的な金額を支払う理由は何なのかと。また、そうまでして地球上の土地の一画を手に入れることが、美しい日本的なステキなことなのかと、休日の公園で考えたりしたのです。いや、家持ってないけどね。誰かがくれるというのならもらうけどね。でも、みんなの憩いの場である公園に、テントという形で占有スペースを確保することが、なんかちょっと不遜な暴力行為にも感じたものですから、つい。

　ハンストをやっているという学生が現れて、そのハンストがヌルいと揶揄する言葉がネット上では乱れ飛んでいる。そのひとつに「ラマダンの断食よりも楽」というものがあって、まあたしかに10時から21時までだと11時間だし、下手すれば晩飯をカッ喰らって早めに寝た人が寝坊をすれば知らないうちに経過してしまう時間でもある。当然その間にものを食うことはないのであって。有り体にいえば、そのハンストがヌルいのは誰の目にも明らかだ。しかし、じゃあどこまでのハンストをやればいいのかなんて誰にも判らないことだし、何かひとつの答えがあったとして、その答え通りにハンストをやるかどうかは本人が決めるべきこと。周囲が「本気なら完全に絶食しろ」などというのは僭越甚だしいのであって、そんな揶揄をする人だって、職場の同僚が午後3時頃に「忙しくてまだ昼メシ食べてないんだ」と言うのを耳にすれば、「そりゃあ大変だね、腹減っただろう」と同情の言葉ひとつもかけるのが普通だろうに。

　普通ならば。

　何かを行った時にその行いと比較する対象というのは無数にある。極端な例というものも当然ある。高校野球でそれなりのいいプレイが出た時に「やったな」と喜ぶのが普通で、「ふん、イチローに較べたらそんなの凡打に等しい」と揶揄することにどれだけの意味があるだろうか。同じように思いつきでハンストをやった若者に「ラマダンの方が厳しい」と揶揄することにはたいした意味は無い。あるとすれば、憎しみで揶揄したいという発言者の心根の荒みを具現化するというだけのものでしかないでしょう。

　矛盾という言葉が完全な矛と完全な盾を求めようとすることの無意味さを表す言葉であるように、人は無意味にエスカレートしていく傾向がある。右の人なら「愛国心を示せ」の極端が「特攻で死ね」になるし、左の人なら理想を追求するあまりに他人のちょっとした差異が許せずに内ゲバに走る。その時に起こるの精神の動きは「自分は絶対に正しい」というものだと思う。自分が絶対に正しいから、他の人が方向は自分と同じであっても、その程度が違うことが許せず、身内と言っていい相手を追いつめることになる。ましてや、自分とは立場が異なる相手に対しては容赦などない。何故人間はそんなことになるんだろうと思うけれども、自己愛がきっとそうさせるのだろうし、自己愛を捨てて生きるなんてことは、愚かな人間にはとても無理なことなのだろうと切ない気持ちになってしまう。

　それは右か左かという両端の人にだけ起きる悲劇ではなくて、中道だと自認している人にだってそういう極端は起き得る。なぜなら、中道であっても自己愛はあるのだから。

　ともかく、ハンストをやろうという人は、形だけのなんちゃってハンストでいいのです。なぜ抗議のために餓死しなければならんのか。餓死しなければならない理由なんてないし、10時から21時ではヌルくて、8時から26時までなら立派なハンストなのか。4時から27時までなら立派なのか。その時人は多分言うだろう。「それでも1時間は食っていいんだろう？食っていいなら誰だってできるぞ」と。そして完全絶食に追い込んでいく。言う人はネットの向こうの届かないところにいて、ポテチを食いコーラを飲みながらそんなことを言っているだけなのに。

　もっとみんな、普通の感情を取り戻せばいいのに。なぜそこまで刺のある荒んだ感情に追い込まれてしまっているのだろうか。

　ちょっとずつでもいいから、毎日書こうと思った2日目です。禁煙のプロがもう何度も禁煙に成功してきたのと同じように、毎日書こうともう何度思ったことやら………。

　それでもまあ、時々思い出したように「これではいかん」と自戒するのが、せめてもの救いなのかもしれません。

　さて、なんかず〜〜と違和感を感じていたことの理由をさっき理解したような気がします。それは、啓発セミナー的なことをやっている人たちが、facebookにも沢山いて、まあそれはいいんですが、そういう人の写真ってすっごく笑顔。いや、笑顔はいいですよね。それを非難する理由なんてありません。人類皆笑顔でいいと思います。でも、なんかその人の笑顔が不自然なような気がしてて。啓発セミナーをやってる人も受けてる（と思われる）人も、まあ受けてると思われる人というのは、その啓発セミナーをやっている人の投稿にやたらとイイねを押したりコメントを残したりしている人のことですが、その人たちも笑顔で、なんか不自然。

　で、今日思ったのです。啓発系の人たちの投稿に特徴的なパターンはこうです。
　【おはよう系挨拶（挨拶はほぼすべて「おはよう」です。昼以降に活動している投稿などあまり見ません）＋名言＋「その通りですよね」コメント＋「今日も元気にいきましょう」的ポジティブメッセージ】
　たいてい、これです。

　ここに、その人の中身ある言葉って、あるのでしょうか？？

　まあ啓発セミナーというものがそもそも「人生を充実させよう」的な感じの催しで、しかも大抵金を取るので中身が濃くなければいけません。でも、そんなに濃い人生を送ってる人がどれだけいるのでしょうか。少なくとも、あんなに沢山いる啓発セミナー講師の数ほどはいないはず。

　確かに偉人の名言には示唆に富んだ何かが含まれているわけで、それを生きる上でのエッセンスとして参考にすることは有効でしょうけれど、そればっかりでは自分という存在に意味が付加することはおそらくないだろうと思うのです。啓発系の彼らの投稿には、個人の生活がほとんど見えません。それはもしかすると、日常を普通に公開すると、名言の何かと比べてギャップがありすぎて、仕事に差し支えるからなのかなあと。

　まあ僕は啓発セミナーに行くことは一生ないだろうし、それに、人伝えに聞く名言よりも、友人が「けっ、仕事で失敗しちゃったよ〜」「終電乗り遅れた〜」「酔っぱらって記憶ないんだけど、気づいたら朝。んで、ここどこよ？」といった自分の言葉で書かれた、その人にしか書けないトンマな投稿の方が愛しく思えてしまうのです。

　ブログを書く時間がありません。

　先日友人と会った時、待ち合わせの時間に数分遅れたら「今、iPadで大島くんのブログを読んでた」と言われて顔から汗が噴き出した。読んどんのかい！その友人とつながってるfacebookではブログのこと一切触れてない。だから、どこかを経由して、例えばキラキラレコードのHPを経由したり、場合によっては検索をして辿り着いたのだろうか。まあいい。隠そうと思ってないし、今こうして書いていることもその人は読んでるのかもしれないし、読んでないのかもしれない。

　その時僕は「あれは半分くらいは寝ながらiPhoneで書いている」と言った。こんな長文をiPhoneで書くなんてと驚かれたが、意外とその方が良かったりする。それに、パソコンに向かっているときは基本的に仕事だし。

　それにしても、ブログ書く時間がありません。最近はすぐに寝てしまうし。オッサンなのかなあ。オッサンを通り越してジジイなのかなあ。だったら尋常じゃないくらいに早く目が覚めてしまって早朝未明に書けばいいのに。いや、その元気はないのです。

　帰省したら、いとこにまで「この間ブログ読んだ」とか言われた。おいおい、読んどるのかよ、いとこのブログ！　まあいい。そのうちに、甥っ子姪っ子も読むのかな。コワいな。いや、コワくはないけど。

　どうせ誰も読んではいないだろうというのは愚かな思い込みに過ぎません。近しい人が意外に声を潜めて読んでいるのです。そうでしょう、今これを読んでいる僕の知人のあなた！！いや、いいんですけれどもね。読むのはどうぞ読んでいただいて構いませんし、楽しんで読んでいただけるためにもっともっと文章を磨きたいと思います。そのための時間も捻出したいと思います。努力します努力します。だからどうか、超久々に会った時に、ニコニコして「読んだよ」っていうカミングアウトするのはやめてください…。