絆という言葉が嫌いだ。そこには暗黙の強制力がある。いかにいい方向に向かうのだとしても、考えもしない誰かを脅して恐怖心で、脅す根本の内容とは無関係のある方向に突き動かすことに意味はない。「でも、相手が動員をかけている以上、こちらも動員をかけなければ負けちゃうじゃないか、民主主義は多数決なんだぞ」という声もあり、主張の双方が動員をかける。その多数に意味はあるのか？考えずにその場に連れられる数が大事なのであれば、飼っているペットをたくさん連れて行くのと大差はない。

友人が「長いこと引きこもりのような暮らしをしてきたので、市民運動の人たちのいる場所に行くのが苦手。圧倒されるし、泣きたくなる。だけど、明日は国会前に行ってこようと思う。」と述べていた。その場に行ってみんなで反対を叫んでいる、いや、反対に限らず、叫んでいること自体を想像するだけで緊張するという。それでも国会前に行くという。自分で考え、自分の判断で行く。それはとても良いことだ。行ってみて、声なんてあげなくても良い。道路の反対側の隅で眺めているだけでもいい。怖くなれば途中で帰ってきてもいい。誰から強制されたことでもないのだから、自分の気持ちのままに動けばいい。

そうした個々の人たちが、誰に強制されることも、誰に動員されることもなく、ひとつの独立した個の自由意思でその場に向かう。その結果多くの人が集まれば、それこそ民主主義の強い意志になるのだろうし、選挙のたびに各陣営が組織がためをすることで決まってきたこの国の在り方を少しだけ変えていく端緒になるのかもしれない。

天候が気になる感じだけど、盛り上がるといいな。