「YESかNOかで答えて。今すぐに」とかいう問いかけをする人がいます。それが有意義な問いかけであるケースがゼロとは言いませんが、じゃあすべてのケースで有意義なのかというと、そうではありません。

　今、僕は息子を保育園に送り迎えしているのですが、そこでは顔見知りのお母さんも何人かいます。会えば会釈もします。で、誰かがそういう顔見知りのお母さんを指定して「その人はあなたのタイプですか、YESかNOかで答えてください」と問いかけたとします。さて、正解はどちらでしょうか。

　NOと答えたらどうでしょう。失礼ですね。明確に「タイプではない」というのは何かの否定のようで、失礼です。仮に逆に自分がそういわれたら、別にいいのですけど、嬉しい気分にはなりません。

　ではYESと答えたらどうでしょう。誤解を生みますね。そんな目で見ているのかと思われたら、とても困りますね。あくまで、自分の子供のクラスメイト、仲良しさんのお母さんというだけです。タイプとか、そんな基準では一切見ていません。世の中にはクラスメイトのお母さんのことをそういう目で見る人も多少はいるかもしれませんが、僕はそうではありません。で、そういう目で見る人は自然と避けられていくでしょう。多分。

　こういうケースでは、やはり「YESかNOかで答える」ということはダメなのだろうと思います。つまり、YES or NOが意味をなさない、というか第３の答えがある質問というものが存在するということです。しかし限りなく単純化された「YES or NO」には説得力があるし、だからそういう問いをする人も大勢いるんでしょう。けれど、やはりその単純化は議論を無意味にする可能性があるし、そういう問いをされた場合は一歩立ち止まってみることが必要でしょう。そして

「その問題設定に意味はありますか？」

と逆に問いかけてみるのがいいと思います。たいていの場合、勢いで言っているだけですから。深慮ある人ならそこで立ち止まって考えてみてくれるでしょうし、立ち止まらない人はこちらが瞬発的に答えないことを「ほら逃げた！オレの勝ちだ！」と定型的な勝利宣言をやるでしょう。後者の場合は単なるアホですから、無視すればいいと思います。Twitterであれば、黙ってブロックするのが得策だと思います。時間の無駄にしかなりませんから。